サンダルウッド(白檀)とは

原料植物名 | インディアンサンダルウッド
オーストラリアンサンダルウッド |
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別名 | ビャクダン |
科名 | ビャクダン科 |
学名 | Santalum album(インディアンサンダルウッド)
Santalum spicatum(オーストラリアンサンダルウッド) |
主な産地 | インド、インドネシア、スリランカ(インディアンサンダルウッド)
オーストラリア(オーストラリアンサンダルウッド) |
主な抽出部位 | 心材 |
精油抽出法 | 水蒸気蒸留法 |
ノート | ベースノート |
白檀は世界最古のお香のうちの一種。サンダルウッドは、深く落ち着いたウッディーな香りが特徴、瞑想やリラクゼーション、香水など幅広く使われています。インド産のインディアンサンダルウッドは昔から宗教と深い結びつきがあるとされ、絶滅危惧種の高価となっています。「天然のオリエンタルウッドの王」とも呼ばれています。
代用されるオーストラリアンサンダルウッドは植物起源が異なりますが、同じビャクダンの別種となっています。
サンダルウッドはどちらも半寄生植物で、他の植物の根っこに寄生して成長していくという特殊な性質を持っています。
サンダルウッドの香り成分

1. α-サンタロール(α-santalol)

- 含有量:約45〜50%
- 香りの特徴:温かみがあり、クリーミーでやや甘いウッディーな香り
α-サンタロールは、緊張緩和、心の安定などサンダルウッドの「心を落ち着かせる香り」の中心となる成分です。
2. β-サンタロール(β-santalol)

- 含有量:約20〜25%
- 香りの特徴:αよりややスパイシーで深みのあるウッディーな香り
αとβのバランスが、サンダルウッドの奥行きある香りを作り出しています。
人には作り出せない香り!?

サンタロール(特にα-サンタロール、β-サンタロール)はセスキテルペンアルコールという化合物で、化学的に合成することは理論的にも実験的にも可能です。
しかし、天然に存在するα-サンタロールは、特定の3次元構造を持っているため、化学合成で同じ香りの異性体を精密に作るのが非常に難しいです。
また、合成した成分は似た構造でも香りの印象が天然のものと微妙に異なることが多く、特に香料業界では「天然であること」に価値があります。
要するに、サンタロール(α-サンタロール/β-サンタロール)は“合成はできる”が、天然の香りとは別物になることが多いというのが正しい解釈です。
香りと髪の毛の関係を示唆する研究もされている

サンダルウッドの香り成分(特にα-サンタロール)は、頭皮の血行を促進し、毛根に栄養が届きやすくなるとされています。
実際に、嗅覚受容体(OR2AT4)という香りを感じるセンサーが毛包(毛の根元)にも存在しており、サンダルウッド由来の化合物がこの受容体を刺激すると、毛髪の成長が促される可能性があるという研究結果も報告されています!
人間の毛包が嗅覚受容体依存性化学感受性に関与し、OR2AT4を介した大量伝達が成長を維持できることを特定し、嗅覚受容体が脱毛療法の分岐点として機能する可能性があることを示唆しています。
他にも、皮脂の分泌を穏やかに整える働きがあります。
オイリーになりがちな頭皮や、乾燥によるフケが気になる方にとっては、まさに救世主。
収れん作用(引き締め作用)もあるので、毛穴をキュッと整えてくれる効果も期待できます。
参考文献
- サンタロール類の酸化還元反応による新規香気成分の合成 田嶋祐二(埼玉大 大学院)廣田一貴(埼玉大 理)長谷川登志夫(埼玉大 大学院)朝井計(埼玉大 大学院)奥崎正人(埼玉大 理)宮島由紀(埼玉大 理)山田英夫(山田松香木店)
- アロマテラピー検定公式テキスト1級・2級 2020年6月改訂版(公益社団法人 日本アロマ環境協会)
- 嗅覚受容体OR2AT4がヒトの毛髪の成長を制御する ジェレミー・シェレ、マルタ・ベルトリーニ、レスリー・ポンセ、ジャニン・レーマン、テレサ・ツァイ、マジッド・アラム、ハンス・ハット、ラルフ・パウス
- サンダルウッド(ビャクダン)(THREE HOLISTIC RESEAECH CENTER)