ドラッグストアで売っているドリエルなどの睡眠改善薬。
ほんとに効くのかなと疑いつつ、最近眠れないし買ってみるかと試してみたことがある人も少なくないと思います。
ところで、ドリエルはどんな効果で眠くなるか知っていますか?
今回は睡眠改善薬の成分についてお話します。
睡眠改善薬とは
睡眠改善薬は眠れなくなった症状(不眠症状)を一時的に改善するためのOTC医薬品です。ドラッグストアや薬局で購入できます。医師の処方でもらえる睡眠薬(睡眠導入剤)とはまた別のもので、成分も違います。
睡眠改善薬の成分はアレルギーの薬と同じ!?
先ほどのドリエルには「ジフェンヒドラミン」という有効成分が入っています。この成分は抗ヒスタミン作用(H1受容体拮抗)という効果があります。この成分、実はアレルギーの薬であるレスタミンコーワという薬と同じ成分です。ドリエルは1回分の2錠に50㎎、レスタミンコーワは1回3錠に30㎎分含まれています。
花粉や鼻炎、アレルギーの薬を薬局でもらった時に、「眠気が出る」と説明されたことはありませんか?
だって睡眠改善薬にも使われる薬ですからね…
ヒスタミンとは
ヒスタミンはヒスタミン受容体と結合すると体でかゆみや炎症、鼻水、くしゃみなどのアレルギー反応を起こす物質です。
受容体はかぎ穴のようなもののこと。つまり、ヒスタミン(鍵)が受容体(かぎ穴)に入ることで鍵が開いてアレルギー反応が起こってしまうイメージです。
花粉症や鼻炎でかゆみや鼻水が出るのはヒスタミンが原因だったのです。
また、ヒスタミンには実はほかにも作用があるんです。たとえば脳ではヒスタミンは脳の活動を活発にする作用もあるのです。
同じ薬なのになぜ違う効果が出るの?
ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン作用、要するにヒスタミンが受容体に入るのを止める働きをします。それにより、アレルギーのかゆみや鼻水、くしゃみを起こさないようにしてくれています。
また、抗ヒスタミン薬は脳に移行しやすい形(脂溶性)をしています。これが脳の動きを活発にするヒスタミンを止めるとどうなるでしょうか。脳の作用を落ち着かせて眠気を引き起こします。要するにアレルギーの薬の副反応を利用したのが睡眠改善薬です。(例外として眠気の出ないアレルギー薬もございます)
飲み合わせや年齢に注意が必要
睡眠導入剤とアレルギーの薬は同じ成分だということがわかりました。
ということは、一緒に飲んでしまうと成分を用法用量以上に使ったことになります。そうなると作用が強く出てしまうことがあります。ほかにも頭痛や吐き気、のどの渇きなどの副作用もありますので、お薬の過量投与にならないように注意しなければなりません。
他にも酔い止めや総合風邪薬(総合感冒薬)の鼻水の症状に抗ヒスタミン薬が多くつかわれています。
また、ドリエルの年齢欄には15歳以上とあり、15歳未満の小児には使わないようなっています。脳の作用を落ち着かせる効果が過剰になると、小児では痙攣をおこしてしまう可能性があります。同じ成分で子供用のトラベルミン・ジュニアも用法用量をしっかりと守って使用してください。
緑内障や前立腺肥大の症状の方には使えないので合わせて注意が必要です。(抗コリン作用という別の作用のせいです)
まとめ
OTC医薬品は使い勝手がよく、とても便利ですが、気が付かないうちに同じ薬を飲んでいたといった事例も少なくありません。薬剤師や登録販売者に確認して、安全に薬を服用しましょう。
※お薬の説明は法律や研究によって内容が変わることがあります。正しい最新の情報をしっかりと確認してください。