最近鼻水の症状を訴える患者様が多くなってきました。その中でも時々、漢方の方がいいという方もちらほらいらっしゃいます。ただ、漢方はいろんな種類があってどれを使えばいいかわかりにくいと思います。
今回は鼻水の症状別におすすめしている漢方薬を紹介します。
現在の鼻の症状はどれか確認
漢方は東洋医学の考え方をもとに、症状に合わせて漢方を選びます。
今回は「風寒」と「風熱」に分けてみます。
風寒は寒気がする、冷えると悪化するイメージです。風熱は腫れて熱を持っていて、乾燥や熱によって悪化するイメージと考えてください。
それぞれの症状によく配合される漢方のうちのいくつかを例として一緒にご紹介します。
鼻水が透明でさらさらか、黄色でドロドロか
透明でさらさらした水っぽい鼻水は風寒の症状に該当します。「半夏(ハンゲ)」、「五味子(ゴミシ)」が水分代謝を改善するのでこれらが入った漢方を選びます。
黄色でドロドロした鼻水は風熱の症状に該当します。蓄膿などの排泄には「葛根(カッコン)」、「荊芥(ケイガイ)」、「連翹(レンギョウ)」、「桔梗(キキョウ)」、「辛夷(シンイ)」などが使われます。
鼻が詰まっていて鼻に熱っぽさを感じる、鼻の中が乾いている
熱っぽさ、乾燥は風熱の症状です。「麦門冬(バクモンドウ)」など潤いをもたらす効果のある漢方や炎症を抑える「黄芩(オウゴン)」、「山梔子(サンシシ)」を選びます。
鼻詰まりをお風呂などで温めると改善する
温めると鼻づまりが改善するのは風寒の症状です。「麻黄(マオウ)」、「桂枝(ケイシ)」など体を温める効果がある漢方や、血行を促進して鼻のうっ血に効果がある「川芎(センキュウ)」が選ばれます。
症状別おすすめ漢方4選
とにかく水っぽい鼻水を止めたい方
風寒の症状で鼻水を特に止めたい場合は小青竜湯をおすすめします。
8種類の漢方が配合されており、「麻黄(マオウ)」、「桂枝(ケイシ)」などが体を温め、「半夏(ハンゲ)」、「五味子(ゴミシ)」が水分代謝を改善します。
くしゃみ改善などにも効果が期待できます。
風寒の症状で鼻詰まりを治したい方
風寒の症状で鼻づまりを治したい場合は葛根湯加川芎辛夷湯。
こちらは9種類の漢方が配合されており、体を温める「麻黄(マオウ)」、「桂枝(ケイシ)」、蓄膿などの排泄には「葛根(カッコン)」や「辛夷(シンイ)」。鼻のうっ血に効果がある「川芎(センキュウ)」も入っています。
サラサラな鼻水が出る人のうち鼻づまりを治したい人向け。
黄色っぽいドロドロ鼻水がずっと出る
風熱の鼻水を治したい場合は荊芥連翹湯がおすすめ。
なんと17種類の漢方が配合されています。炎症を抑える「黄芩(オウゴン)」、「山梔子(サンシシ)」。蓄膿などの排泄に「荊芥(ケイガイ)」、「連翹(レンギョウ)」、「桔梗(キキョウ)」などが入っています。
慢性鼻炎や副鼻腔炎、蓄膿症などで、ドロドロの鼻水が止まらない方にはこちらをおすすめします。
鼻水が黄色く、加えて鼻の中が乾燥して熱感がある
風熱の鼻づまりを治したい方は辛夷清肺湯がおすすめです。
9種類の漢方が配合されています。炎症を抑える「黄芩(オウゴン)」、「山梔子(サンシシ)」など。潤いをもたらす効果のある「麦門冬(バクモンドウ)」。蓄膿などの排泄には「辛夷(シンイ)」が配合されています。
鼻が乾燥していて詰まっている方にはこちらがおすすめです。
まとめ
いかがだったでしょうか。今回は薬剤師がよくおすすめする鼻炎の漢方薬について症状別に解説いたしました。今回紹介した漢方はほかの名前でよく販売されています。例えばチクナインは今回ご紹介した「辛夷清肺湯」です。
また、錠剤や細粒など種類もあるので、飲みやすい方法で服用できます。
最後に、気を付けなければならないのが漢方にも副作用があることです。今回紹介した麻黄(マオウ)という漢方は発汗、頻脈、動悸などを起こす可能性があります。ほかにも黄芩(オウゴン)などによる肝障害や甘草(カンゾウ)による偽アルドステロン症など様々あります。
飲み合わせもありますので、購入時には薬剤師に確認をしてもらった方が安全に使用できると思います。
ぜひ漢方薬も使用してみてください。
※お薬の説明は法律や研究によって内容が変わることがあります。正しい最新の情報をしっかりと確認してください。