虫刺されや軽いやけど、保湿など塗り薬の需要はとても多いです。その中でよく質問されるのが、「軟膏とクリームどう違うの?」です。
簡単に言うと塗り心地や適した使用部位が異なります。有効成分は同じ商品名であれば同じ量だけ配合されています。結局はその人の好みの塗り心地で決めてしまって問題ありません。では、どのように違うのか。
今回は軟膏とクリームに加えて、ローションタイプの塗り薬について解説します。
剤形の特徴
軟膏剤とは
油っぽくて手がべたべたしやすいのが軟膏の特徴です。油性基剤といって、保湿力が高くぺったりまとわりつくので皮膚を保護するような役割があります。傷になっているところにも比較的使いやすいのが軟膏です。
べたべたするので伸びは悪いですが、実は皮膚への刺激は少ないです。
クリーム剤とは
クリーム剤は油性基剤に水(グリセリンなど)を混ぜ合わせて乳化させた状態の基剤を使います。サラサラしていて伸びがよく、べたつかないので使用感が良いです。軟膏よりも刺激があるとされていて、傷がある部位には適していません。
皮膚への吸収がよいので、皮膚を保護する作用はありませんが、軟膏よりも早く効果が得られるとされています。
ローション剤とは
ローション剤も油性基剤に水(グリセリンなど)を混ぜ合わせて乳化させた状態のものです。クリーム剤よりもっと水分が多いです。クリームよりもサラサラで、クリームが塗りにくい場所にはローション剤を使います。クリーム剤と同じように軟膏よりも刺激があるとされているので傷がある場所には適しません。
頭皮やデリケートゾーンなどほかの剤型が塗りにくい場所に使いやすいです。
適量はどのくらい?
1FTU(ワンフィンガーチップユニット)とは人差し指の先から第一関節までチューブから薬をまっすぐ出した量(0.5g)で塗れる範囲が、両方の手のひらの面積分に相当するという塗り方です。

ローションタイプでは1円玉くらいの大きさが1FTUです。
これはあくまでステロイドの塗る量の目安ですが、このくらい十分に塗らないと効果が十分に期待できません。よかったら塗り薬を使用する際の目安にしてください。また、塗る量に制限がある薬もあるので、購入時の説明を必ず確認してから使用してください。
実際の使用例
傷口の保護も兼ねて
少し傷になっている場合、傷口を覆って保護し、なおかつ刺激が少ない軟膏がおすすめ。
手に使用する場合
手がベタベタするのが嫌いなので、さらっとしていて洗ったときにしっかりとれるクリーム剤がおすすめです。
頭皮の炎症
髪の毛がじゃまで軟膏やクリームがうまく塗れないなら、さらっと塗れるローションタイプがおすすめ。
こんなときどうすればいいの?
薬を使ったらかぶれてしまった
塗り薬で気を付けなければならないのが接触皮膚炎です。かぶれや発疹、赤くなるといった症状が見られた場合は使用をやめて医師に相談してください。
冬に軟膏が冷たく固まってしまった
軟膏やクリームは温度によってかたくなってしまうことがあります。手で温めて温度を上げると元の柔らかさに戻ります。
いつも保湿剤を使っているが、ステロイドの薬も使いたい
ステロイドは症状が起きている部分を狙って使ってほしい薬です。先にステロイドを使用してから保湿をするとステロイドも一緒に広範囲に伸ばしてしまうことになります。先に保湿をしてからステロイドを使用していただければ問題ありません。
まとめ
軟膏とクリーム、次いでローションの違い、使い方について説明いたしました。結局は使用感による好みになるとは思うのですが、気が向いたら使い分けで効率よく使ってみてください。またお薬によっては特徴が異なるものもありますので注意して下さい。
※お薬の説明は法律や研究によって内容が変わることがあります。正しい最新の情報をしっかりと確認してください。